874. チェーホフ 中二階のある家 (画家小説百選)

Chekhov_Birthhouse.jpg
(The Chekhov Birthhouse)


「中二階のある家」(1896)、物語の舞台は19世紀末のロシア(帝政末期)、登場するのは画家の青年と二人の姉妹。主人公の青年が、6-7年前の出来事を回想するかたちで、物語は語られていく。

私はヴォルチャニーノワ家をしばしば訪れるようになった。(中略)
「こんな話はあなたには面白くありませんわね」
私はこの娘に好感を持たれていなかったのである。この娘が私を好かないのは、私が風景画家であって民衆の苦しみを表現するような絵を描かないこと、娘自身が固く信じていることにたいして私が一見無関心であることのためなのだった。(中略)
一方、妹のミシュスは何の気苦労もなく、私と同じように全く無為の生活を送っていた。朝起きると、この娘はすぐに一冊の本を手に取ってテラスへ行き、小さな足が地面に届かぬほど深い肘掛椅子に坐って読み始める。あるいは本を持って菩提樹の並木道に姿を消したり、門から野原へ出て行ったりするのだった。
(小笠原豊樹訳)


「中二階のある家」は、チェーホフ、晩年の短篇。
晩年といっても、作家、36歳の作品である。
邦訳は、新潮文庫版の作品集『かわいい女・犬を連れた奥さん』(小笠原豊樹訳)で、読んだ。
訳者によれば、これはチェーホフの最も "円熟" した時期の作品群なのだという。
病気療養が続くなかでの作家の円熟とは、どういうものなのか。そんなことを思いながら読むのは、とても難しい。その物語がある夏の日の淡い恋愛譚のような形式を取っているにしても、である。



にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

ブログランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです






関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク