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873. エミール・ゾラ 制作 (画家小説百選)

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バルザックの「知られざる傑作」(1831)を フランスの"画家小説" のスタート地点とすると、以後、ほぼ30年おきに、マネット・サロモン(1866)と感情教育(1864-69)、制作(1886)、神々の誘惑(1912)と重厚な作品が並んでいく。大事なのは、これらの作品が、フランス史においても特別な激動の時代に書かれたということだと思ってみたりする。これらの画家小説はどれも、いわば、純粋な芸術家小説など成立しない時代に書かれたというわけなのである。だから、もちろん、どの物語も大団円にて終了、というわけにはいかない。ゾラの「制作」の主人公(画家のクロード)も、また、悲痛な結末を迎えるのである。

 「今は別のものが必要なんだ。・・・・・・それは何か? おれにははっきり分らない。もしそれが分り実現できれば、おれは強くなれるんだがな。そう、おれに敵う奴がいなくなるんだ。・・・・・・しかし、いまおれの感じていることはといえば、あのドラクロワのロマンティックな大装飾画が崩れ落ちようとしていることと、クールベの暗い絵が、陽の入らないアトリエでかびが生え、すでに悪臭を放っているということだけなんだ。分るだろ。とにかく太陽が必要なんだ。外光がね。明るくて若々しい絵画、真実の光に照らされたありのままの事物や人間の姿が必要なんだ。それじゃ、われわれの絵とはどういうものか、つまりわれわれの世代の人間がどういう絵を描き、ながめるべきなのか、そこのところがおれにはどうしても言いあらわせないのだ。・・・・・・」
 彼は口ごもり、声が消えた。未来の開花を心中に漠然と予感するのみで、言葉にはならなかった。
(清水正和訳)


引用したのは、いわば"印象派"の画家たちの登場前夜とでもいう場面である。
肝心なことは"言葉にはならなかった"というものの、これだけの熱情が一息で言えたのだとしたらそれでいいではないか、とわたしなどは思う。しかし、クロードは続ける。『ああ! すべてを見、すべてが描けたら!』と。




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