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875. モーム 月と六ペンス (画家小説百選)

Paul Gauguin Museum (Tahiti)
(Paul Gauguin Museum ,Tahiti)


モームは、一時、モンマルトルに住み、そこで後期印象派の作品群とめぐりあった。訳者の中野好夫によれば、作品としてはセザンヌに最も深い感銘を受け、人間としてはゴーギャンに最も強く動かされた。そして、当時出ていたゴーギャンの伝記を読み、小説化を決めたのだという。・・・その小説は、出版後、英米両国でたちまち驚くべきベスト・セラーとなった。つまり、見事なまでに、”通俗的な”小説だったというわけである。とすれば、われわれがこの作品を読む場合の”キモ”は、読み進めながらその通俗性をいかに剥ぎ取ってみるかということになる。ああ、小説を読むってなんて面倒なんだろう(lol)

はじめてチャールズ・ストリックランドを知ったとき、僕は、正直に言って、彼が常人と異なった人間だなどという印象は、少しも受けなかった。だが、今日では彼の偉大さを否定する人間は、おそらくいまい。僕は、時を得た政治家や、成功した軍人の偉大さを言っているのではない。それらは結局のところ、彼らの人間そのものよりも、彼らが占める地位に伴う偉さであるにすぎない。ひとたび事情がちがえば、たちまち平々凡々たるものになってしまう。たとえば、あまりにもしばしば見られる実例だが、辞任した首相は、もはやもったいぶった一介の雄弁家にすぎなかったり、軍隊から離れた将軍は、単に商都の一好々爺にすぎなかったりする。そこへいくと、チャールズ・ストリックランドの偉大さは本物だった。諸君は、あるいは彼の芸術を好まないかもしれないが、全然無関心であることは、ほとんど不可能であろう。諸君の魂を、彼はゆさぶり、そして掴んでしまうのだ。
(「月と六ペンス,1919」、冒頭、中野好夫訳)

わたしも、この画家の作品に魂をゆさぶられることにやぶさかではない。西洋美術館でも、大原でも、MOMAやオルセーでも、実際に揺さぶられたことがある。しかし、タヒチでは・・・、
この原画が一枚もないミュージアムでもわたしは、不覚にも魂を揺さぶられ掴まれてしまったのである。なんと、死せる画家の魂は強大であることか。



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