スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

882. フローベール 感情教育 (画家小説百選)

Gustave Flaubert

"Google Logo"には、作家シリーズもいろいろあって、たまたまフローベールのを見つけたので画像を借りてきた。もちろん、この横顔を少しだけ見せている女性が、ボヴァリー夫人なのか、「感情教育」のアルヌー夫人なのかということなどぼんやり考えている。

 1840年9月15日、朝の六時頃、出帆まぎわのヴィル=ドゥ=モントロー号がサン=ベルナール河岸の前で、もくもく煙のうずを上げていた。(中略)
 やがて、船が出た。そして倉庫や材木置場や工場の並んだ両岸が、二条の幅広いリボンをくりひろげるように走りだした。
 髪を長くした十八歳の青年が一人、写生帳をかかえて、身動きもせず、舵のそばにたっていた。霧をとおして、その眼は鐘楼や名を知らぬ建物を眺めている。それから、最後の一瞥に、サン・ルイ島、ラ・シテ、ノートル=ダム寺院などをずらっと見わたした。パリが消えてゆくと、青年は深い溜息をついた。
 最近にバシュリエ(大学入学資格者)試験に合格したフレデリック・モローはノジャン=スュル=セーヌへ帰るところであった。あらためて法律書生になりにくるまえ、郷里で二月ほど退屈な日を過ごさねばならなかった。母親はわが子のため遺産を心あてにしている伯父に会いにゆけと、旅費まで持たせて、青年をル・アーヴルへゆかせた。やっと昨日、そこから帰って来たところだ。そこで、ゆっくり首都に滞在できない意趣ばらしに、国へ帰るのにわざわざいちばん遠い道筋をえらんだのである。
(生島遼一訳)


「感情教育」(1864-69)は、青年フレデリックに焦点をあてた成長小説であると同時に、二月革命前後のフランスの1840年代という時代を生きた青年たちを描いた群像小説でもあると思う。とすれば、本当の主人公は、フレデリックか、彼と彼の友人たちか、それともその時代そのものを描こうとしたのか・・。読み方はむずかしいが、ひとつだけ言えることは、これはフレデリックとアルヌー夫人の恋物語ではないのである。たとえ、読後に、アルヌー夫人の美しさについてだけしか印象に残っていないとしても。



にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ

ブログランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです





関連記事
スポンサーサイト

⇒comment

Secret

被災地の学生を応援しよう!
プロフィール

jacksbeans

Author:jacksbeans
ようこそ!
記事のカテゴリ区分は、
①自転車、②図書室、③青、④メキシコ、⑤フルーツ、⑥階段、⑦画家、⑧スープ、⑨音楽、⑩綠、です



にほんブログ村 本ブログへ

ブログ村ランキング参加中、
クリックしていただけると幸いです。

カテゴリ
月別アーカイブ
04  12  09  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04 
検索フォーム
最新コメント
最新記事
PVアクセスランキング/海外文学
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。