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885. サルマン・ルシュディ ムーア人の最後のため息 (画家小説百選)

ムーア人の最後のため息


サルマン・ルシュディの「ムーア人の最後のため息」(1995)、
まさに長篇小説、まさに大作、非常に質量が大きい。
わたしの容量では、読み切るだけでいっぱいいっぱいである。しかし強制ログオフとならないうちに、無謀かもしれないが私なりに要約しておこうと思う。

 名辞 ; 続・アルハンブラ物語 、
 主題 : ボンベイ伝 、
 分類 : 画家小説 、
 技法 : パリンプセスト(重ね描き) 、
 形態 : 円環型 、
 単行本: 464ページ
 商品パッケージの寸法: 19.2 x 13.4 x 3.8 cm

きわめて複雑な作品であることはもちろんなのだが、わたしの場合、これを "ルシュディ版のアルハンブラ物語" としてとらえることにしたら、意外にすんなりと読めた。複雑にしているのは、この重ね描きの技法が大胆で緻密で執拗であるからなので、絵の場合だと重ね描きの表層しか見られないことをもどかしく思うかもしれないが、ありがたいことに小説は、何層に重ねられた物語であろうと、ていねいに一枚ずつ読み取っていけば低容量のマシンでもなんとか読み切っていけるだろう、愉しむことができるだろう、そう思うのである。

オローラ・ゾゴイビーのいわゆる「ムーア絵画」ははっきりと三つの時期に分かれる。1957年から1977年までのあいだ、言い換えれば、私の生まれた年と、選挙でガンディー夫人が政権を失い、イナが死んだ年のあいだに描かれた「初期」作品。「全盛期」あるいは「最盛期」といわれる1977年から81年までの時期。この時期に彼女はその名を最も広く知らしめた輝かしい、深遠な作品を創造した。そしていわゆる「暗いムーア」の時期。この時期の作品は私が家を出たあとで母が描いた追放と恐怖の絵画であり、彼女の最後の、未完の、無署名の傑作『ムーア人の最後のため息』(170×247センチ・カンバスの油絵、1987)を含んでいる。(中略)
だがそれはまた謎の絵、あの「消え去った絵」なのだ。母の死から二三年以内に、この主題のヴァスコの作品とオローラの作品が共に消えてしまうというのは只事ではなかった。
(寺門泰彦訳)


さて画家小説として読むとすれば、ここには"ルシュディ最強のヒロイン"と称される女性の画家オローラが登場してきて、嬉しいことにぼくたちを彼女の世界いっぱいに振り回してくれる。
オローラは、画室を「アルハンブラ」に見立て、息子を伝説の最後のグラナダ王 "ボアブディル" に、そして自らをその母 "アイーシャ" に見立てて、「ムーア絵画」という連作を制作する。彼女のなかでは、1490年代のスペイン・グラナダと1990年代のインド・ボンベイが重なって見えているのである。
・・・語り手の"私"が、失われたこの絵を尋ね歩く小説の最終章(第4部)のみごとなこと! 円環型小説であるので、決して物語は閉じることはないのだが、それでいてみごとに完結していると思う。



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