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899.トルーマン・カポーティ 無頭の鷹 (画家小説百選)

夜の樹



「無頭の鷹」(1946)は、カポーティが二十代で書いた作品のひとつ。
邦訳は、新潮文庫版の短編集「夜の樹」や、文春文庫「誕生日の子どもたち」などに所収。

  彼女の唇は、ひびわれてかさかさになっている。何と切り出したらいいのかわからずに震えていて、まるで言語障害にかかっているようだ。目は、ゆるくはめこんだおはじきのように眼窩のなかでくるくる動いている。その、おどおどして内気な様子は子どもを思わせる。「絵を持ってきたんです」彼女はいった。「ここは、絵を買って下さるんでしょう?」
  それを聞いてヴィンセントの微笑はこわばった。「うちは絵を展示するところです」
  「自分で描いたんです」彼女はいった。その耳ざわりな、不明瞭な発音の仕方は、南部の人間に特有のものだった。「わたしの絵です    わたしが描いたんです。ある女性に、このあたりに絵を買ってくれるところがあると聞いて来たんです」
(川本三郎訳)


登場するのは画廊に勤める青年(ヴィンセント)と、そこに訪ねてきた少女(DJ)の二人。
作品のテーマは、いつものカポーティと同じ、イノセンス。
そしてわたしが説明できるのは、ここまでである。あとは物語の雰囲気を感じ取ればいいだけ。

100人が読めば、99人までが読み違えるだろうというこの短篇、なるほど名作というのはそういう幻想に支えられているのかもしれないが、わたしにしたってそんな作品についていったいどんな説明ができるだろう。ただ、ひとことだけ書けるとしたら、無垢なる少女はいつも不穏の兆候として現れてくるということくらいか。バルテュスの少女は、今まさに天使から少女になるゆっくりとした瞬間に存在しているのだが、カポーティの少女はもっと不気味な存在であり、もしかすると存在すらしていない可能性がある。そんなふうに思えるのである。おっと読み違えたかな。




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